逃亡者(The Fugitive)

私が入院している間に夫が録画していた映画。夫が「面白そうと思って録画して、面白いのは面白かったけど、見始めたら長くて、しまったーと思った」「でも面白いから、見るなら消さずにとっとくけど見る?」と珍しく訊いてくれたのでお願いした。

7月25日木曜日の午後に退院してからは、毎日何度も洗濯に励み、筋トレに通い、今週は数時間程度リハビリ的に仕事に出ては『右腕いって(痛い)ー!使えねー』と思ったり『最初から左腕を使うように心がければ意外と動けるじゃんね』と思うなどしつつ、8月中旬以降予定の第二回目入院に向け着々と体力気力を整えているところ。じっとしていると気持ちが痛みに集中しそうになるから、入院中も退院後も痛みが気になったら「よし、とりあえずストレッチしよっか」「筋トレしよっか」と何か体を動かす用事を自分に提案している。退院後約1週間経過した現在の体の状態としては、痛い以外は元気というのは入院中から相変わらずで、痛み止めの服用回数量ともにこれまでと変わらず、でもセレコックスの消炎効果と自分の体の回復力で、手術直後は盛り上がったゲジゲジのようであった患部の縫合痕が日に日に滑らかな線路模様に変化している。そして数時間でも職場で仕事をしていると、家のことをしているのとは異なり、格段に痛みが紛れる気がする。これは、痛くてもここで動く(座ってあるいは立ったままで何かを考える作業であっても)ことにより報酬が得られるという仕組みが、脳に安心感や快楽をもたらすからであろうか。

映画「逃亡者(The Fugitive)」は1993年の作品。妻を殺害した容疑でつかまり有罪判決を受けた主人公が、刑務所へ移送中される途中、バスが転倒する事故が起こる。そのどさくさにまぎれて逃走し、自分の妻を殺害した真犯人(妻を助けようとして主人公が階段で揉み合った相手)と妻が殺害された動機や背景を探り、身の潔白を証立ててゆこうとするお話。

妻を殺害した容疑でつかまる、というのは「ショーシャンクの空に」と同じ設定で、つかまったあとの操作のずさんさも判決に至るアメリカ司法の、君たちそれでいいのか感、も共通している。

ショーシャンクの空に」はよくできた映画だと思うし、なぜか遭遇率も高く、遭遇するとつい見るので、もう何度も視聴しているが、個人的にプリズンもの(舞台設定の大半が刑務所である作品)が苦手な私には少々つらい作品である。プリズンものが苦手といっても獄中内での凶悪犯罪が存在しない「極道めし」なんかは平気。

で、「逃亡者」は上映時間は長めではあったがたしかに面白かった。しかし「逃亡者」というタイトルがなかなかきちんとおぼえられず、夫に「あの映画、見たよ、面白かった。大脱走?だっけ、あれ、なんかちがう」と言うと「それはスティーブマックイーン」と返される。

「大脱獄?」「脱獄してない、そもそも入獄もしていない」

「大逃走?」「それもちがう」

「えー、なんか、この映画のタイトル、絶妙に私の脳で正しく記憶されないわー」「正解は大逃亡でした」

という会話がなされたが、夫よ、君も違ってるぞ、正解は「逃亡者」だ。