めだい

休日のエンターテイメントお出かけ。

お気軽な日帰りお出かけ。
温泉入浴付き。

しかも出発は午後3時。

お昼ごはんは、ひとつのお弁当を、夫と二人で分け合ったため、3時半には早くも空腹になる。

当初の予定では、まず温泉に入ってから、お魚の定食が美味しい食堂へ、というつもりだったのだが、予定変更して、まずごはん。とても早い夕ご飯。

石川県の橋立という漁港にあるお魚屋さん併設の割烹へ。

お昼遅く、夕方早い時間なので、とてもすいている。

お刺身と焼き魚が付く「おまかせ定食:梅」を注文。さざえの壷焼も。

座席からは、日本海がよく見える。今の季節だと日本海も、ずいぶん明るく見えるなあ。

このあたりでは、バイ貝を煮たものがよく出てくる。巻貝好きの私には、たいへんうれしい。

つきだしに、バイ貝煮、ガサエビ煮、タコワサビ、イカの塩辛。

お刺身を食べるときのお醤油は、地元の甘味醤油か、キッコーマンの普通の醤油か。地元の醤油は、甘味醤油というだけあって、甘い。みりんのような甘味。熊本の醤油の甘さにも似ている。

ごはんには、もみワカメが少しかけてある。これも私の好物。

お味噌汁の具は「ふのり」。これも私の好物。

焼くのに少し時間がかかった焼き魚が実においしかった。白身で、皮は黒っぽい色で、身がしまっていて、脂がのっていて、でも重くなくて、うーん、おいしい・・・なんだろう、スズキかなあ、と話しながらいただいた。

会計をするときに、お店の人に尋ねてみる。

「今日の焼き魚はなんだったんですか?」
「メダイ。」

へえ。メダイというおいしい魚があるんだねえ。一階の魚市場で、その姿を見ていこう。

魚市場のおばちゃんに、「今、上(2階の食堂)でいただいたメダイが、すごく美味しかったんですけど、メダイってどの魚ですか?」ときいてみた。

「ああ、メダイ、おいしいねえ。私も大好きよ。あ、でも、今日はもう全部出たねえ。もうないわ。」
「どんな形の魚なんですか?」
「んー、大きさの感じは、これ(ぶり)くらい、かなあ。もう少し色は黒くて、目がぎょろっとしてるのよ。今日二階に持って上がったのは、うーん、1メートルくらいかねえ。」
「わあ、大きいなあ。」
「でも、切り身がたくさんとれるから、焼いても美味しいし、味噌漬けにしてから焼いても美味しいのよ。」
「うわあ。味噌漬け。それは、おいしそうですね。塩で焼いただけでも、すごく美味しかったもんなあ。」

そこにもう一人別のおばちゃんが来た。
一人目のおばちゃんが、「なあ。メダイ、これくらいやんなあ。」と、同じ大きさくらいの魚を指していう。

二人目のおばちゃんは、「そうそう。ピラニアが可愛くなったような魚やな。」

えええ??
一人目のおばちゃんも、私も夫も、ええええ??

二人目のおばちゃんは、とうとうと続ける。「ほんまやで。普通の魚は、どっちかというと、こう口がとがってるけど、メダイやピラニアは、顔の前が丸いというか、つるっとしてるやろ。」

「・・・そ、そうなんですか・・・で、目が大きいんでしょう?」

「そうやね。兎みたいやな。」

えええ??

魚屋さんの説明としては、なかなかに興味深い表現でした。

とにかく。 メダイはたいへん美味しい。また食べたい。また食べよう。
と何度も話しながらの帰り道。

立ち寄ったのは、別所(べっしょ)温泉。お湯がまろやかというよりも軽やか。湯上りがさらさらとして気持ちいい。源泉の味も美味しい。


その後。「めだい」をまた食べる機会に恵まれた。太平洋の伊豆大島にて。魚食堂の「本日のおすすめ」に「めだい」があったのだ。これは食べねば、と意気込んで注文した。たしかにおいしいのはおいしいのだが、図鑑に書いてあったとおり、太平洋のメダイは、日本海のメダイよりも大味であった。日本海のメダイのほうが味が繊細で、魚の脂の旨味が濃い。