寝具と妖気

快眠のための投資は惜しまない方だ。発汗量が多いので、畳の上にまず除湿シートを敷く。その上に備長炭繊維入りの薄いパッド。その上に「110ニュートン2層式アコハード・ムアツ」という敷き布団。シーツは冬場はガーゼシーツ。夏場はクールレイという青色の少しひんやりするシーツ。ときどき綿のタオルシーツも。

ムアツ布団は、友人が紹介してくれたもの。友人が闘病中に、痩せ細った体でも、骨のでっぱった部分が、体を横たえた時に痛くないように、と、購入して使った後、「みそさんの腰痛にもいいかもよ。」と教えてくれた。友人のムアツ布団を、実際に選んで購入したのは、彼女の妹さんだ。がんの痛みだけでも痛いのだから、それ以外の痛みで、知恵や工夫で軽減できるものはそうしようよ、と、きっぱりと言い切る妹さんは、とても頼もしく、友人は彼女のことを、とても頼りにしていたし、たいそう誇りにしていた。

そんなムアツ布団を実際使うようになって以来、私の腰痛は激減した。

ムアツ布団は、通気性がとてもよいので、毎日あげなくてもよいのも特徴だ。寝たままで療養することの多い生活でも湿気が気にならないように、というのも、妹さんの配慮だ。週一回程度、壁等に立てかけて部屋干しすればよい。

私の場合は、発汗量が多いせいもあり、週一回というわけにはいかず、もっと頻繁にあげる。布団をあげて、壁に立てかける。ムアツ布団の下に敷いている備長炭パッドと除湿シートもムアツ布団の両端にかけて、空気を通す。その作業をするとき。全ての敷物を上げ終えたとき。畳から、自分が睡眠中に排出した「妖気」のようなものが立ち上るのが見える。湿気とも熱気とも異なる「妖気」。

眠りは、ただ体を横たえて、身体を休めるだけの作業ではなく、昼間に浴びたり吸収したりしたもののうち、天に還すべきものを、きちんと排出する作業でもあるようだ。