夏野菜の揚げだし

お盆のどうやら家(実家)。


どうやらの妹の子ら男の子二人(夫にとっては甥っ子)も泊まりに来て、どうやらの両親と私達夫婦と6人で過ごす。6人だと食も進む。男の子二人が食べ盛りで威勢のよい食べっぷりを見せてくれるのも、大人の食欲増進にかっている。
両親も私達夫婦も、まったく大食漢ではないので、山盛りの素麺を平らげた後、「今日は食欲がない」とつぶやく男子には、大笑いしてうっとりする。

私がどうやら実家で作ろうと決めていた一品。「揚げだし茄子」。茄子は、どうやら父の好物なのだ。しかし聞くところによると、男子二人は、茄子が苦手な食べ物らしい。それでは、茄子オンリーは、悲しかろう。そこで、方向性を少し変えて、「夏野菜の揚げだし。豚バラ肉も入れるよ。」にメニュー変更。もちろん茄子もたっぷり。ししとういんげん。ピーマン。豚バラ肉には小麦粉をまぶして。揚げる。揚げる。揚げる。油をきったら、出汁に浸す。浸す。浸す。出汁は今回は、白だしをミネラルウォーターで希釈した。めんつゆでもなんでもいいのだろうけれど。夕ご飯までに味がしみこむように、お昼過ぎから揚げ始めて、出汁に漬けて冷ましておく。鍋の蓋を閉じておいて、涼しい部屋で放置。

どうやらの母が「これはまた食べる前にぬくめるん?」と聞くので、「いえいえ。これは、冷ました状態で食べるんです。残ったら、今晩冷蔵庫に入れて、冷や冷やにして、明日の朝ごはんのおかずにしましょう。」と指南する。これで私が万が一、夕ご飯までにぽっくり死んでも、このおかずは、正しく食べてもらえるだろう。唯一の心配は、出汁がちょっとしょっぱく感じることだ。夫にそういうと、「みそきちが、ちょっとしょっぱいと感じるくらいが、世の中ではちょうどよい塩加減。」だという。そんなもんだろうか。

さて、夕ご飯。緑の物体が鍋いっぱいに浮いているのを見て、男子達が「これなにー!?」と不審がる。「夏野菜の揚げだしー。豚肉も下のほうに入ってるよ。茄子もいっぱい入ってるから、苦手な人は、好きなものだけとって食べて、得意な人はいっぱい食べてー。緑の野菜は、ピーマンとインゲンとシシトウー。シシトウは、ばあちゃんの作品だよー。」シシトウは、母がプランターで育てたものが、プランターとは思えない大豊作で、ぴちぴちのぷりぷりだ。

最初は、なんだか、恐る恐る、これはなんだ?と確認しながら、穴の開いたお玉ですくっては、皿にとり、一口二口三口と食べてみた男子達。「これめちゃくちゃうまいー!!」「豚肉が超うまいー」「でも肉だけよりもピーマンと一緒に食べたほうがもっとうまいー!」と、食べては取り、食べては取り、を繰り返す。

茄子が嫌いなはずなのに、下の男子は茄子をよけることも忘れて、一緒に食べてしまっている。「まあ。ばあちゃんは感心したよ。あんたが茄子を食べれるなんて。えらくなったねえ。」と母が言うと、「にーちゃんは茄子嫌いじゃけど、おれは別に嫌いじゃないもん。」とのことだった。

茄子好物の父は、茄子はもちろん繰り返し、他の具材も一通り、「出汁がよく染みている」と、普段とは違う食べっぷりで箸をすすめる。

夫が言う。「全然しょっぱくないぞ。」

そうですか。よかったです。何はともあれ大好評でよかった。