いろはすみかんでミルクを作る

店頭のミネラルウォーターが品薄になっている現在、定番品の通常入荷は難しいものの、通常あまりみたことのない水製品が入荷する。ミネラルウォーターが完売した後もしばらくの間売れ残っていたのは「いろはすみかん」。ほんのりミカンの香りと味がする水がペットボトルに入ったもの。
本来ならば、都会に暮らす孫のミルク調整用のミネラルウォーターを買い求め、送ってやりたくて来たのに、「いろはすみかん」しかない現状に途方にくれたお客様は、次のような質問をくださる。
「このみかん味の水で赤ちゃんの粉ミルクを作ったらどうなるんや?」
従業員は、それぞれに「ほんのりみかん味のお水ですから、やはりほんのりみかん味のミルクになるかと思います」と応える。

では、さて、実際、いろはすみかんでミルクを作ったらどうなるのか試してみよう。


<手順>
明治ほほえみキューブ一個を半分にしたものを、モロゾフのプリンのコップに一かけずつ入れる。
水道水20mLといろはすみかん20mLをそれぞれ加熱して沸騰したら火を止める。
それぞれを明治ほほえみキューブに注ぐ。
容器を振り混ぜてキューブを溶かす。


<予想>
水道水で作ったものよりも、いろはすみかんで作ったものは、みかんの香りと味がするのではないか。
また場合によっては、みかんジュースを牛乳と混ぜたときのような、タンパク質の酸による変性が生じて、モロモロっとした混濁を生じるか。


<結果>
水道水で作ったものは乳白色のミルクで、においは通常の乳幼児用調整ミルクのにおいなのだろうとは思うが、わたしにとっては原料であるピロリン酸鉄のにおいが強く感じられる。味も同様に鉄の風味を強く感じる。わたしはこの鉄のにおいをかいだり味を味わったりすると、鉄棒をなめた気分になる(鉄棒をなめたことはない)ため、あまり得意ではない。
いろはすみかんで作ったものは、乳白色ではあるもののベージュ味または黄色味がやや強く「みかん色」をわずかに感じる。溶け具合は混濁を生じることなくなめらかに溶解。においはみかんのにおいのあとで鉄のにおいが感じられる。舌触りは水道水で作ったものと比べて大きな違いは感じられない。味は鉄とみかんの味が同時に強く感じられる。牛乳で例えて言うならば「フルーツ牛乳」のフルーツ味が薄いバージョンというところか。しかし牛乳はこれほどには鉄鉄した味をしていない。


<考察>
わたしは、どちらのミルクともに、もう飲まない。


明治ほほえみキューブだけでなく、明治ステップキューブのサンプルももらっているのだが、そちらを使っての実験は中止とする。
いろはすみかん」はみかん風味の水としては、問題なくおいしいと思う。ヴォルヴィック(ボルヴィック)のレモン風味と同じように、少し柑橘風味のある水を飲みたいときには適している。
いろはすみかんでミルクを作るとどうなるかは具体的にわかったが、いろはすみかんも完売した今となっては、そしていろはすみかん以外のミネラルウォーターもじきに入荷するようになるであろうことを鑑みると、この実験結果をお客様に提供する機会はなさそうだ。