山と温泉その七

あんこう鍋と鴨南蛮そばでお腹がくちくなり、部屋のお布団の上に横になって消化を促す。
お布団の上に横になってしばらくして、自分の胴体というか胃腸が冷えていることに気がつく。胃腸が冷えると胃腸が重く痛くなってきて、肋骨や背骨から背中から胸にかけてまで冷たく不快なかんじになる。しまった、うむむむむと思い、持参の使い捨てカイロで温める。
そこでふと、ああ、刺身と炙り寿司とあんこう鍋とで魚介類の摂取が少し多かったのかも、と思い至る。しかしなあ、成人の旅人として、あれくらいの魚介類の摂取はできる人体でありたいのだけどなあ。
以前はそうでもなかったのか、それともそうだったけどただ気がついていなかっただけなのか、そのへんはよくわからないのだけれど、最近は、大好きなはずの魚なのに、摂取量が自分の身体にとって過多になると食後しばらくして胃腸がひんやりと冷えたかんじがしてつらくなる。
魚好き(食べるのが好き。釣りや養殖には特別の興味はない)としては、せっかく魚をいただくならば、食べる前も食べている時も食べたあとも、おいしく快適でありたい。
しかし、供された食事はできるだけきれいにたいらげたい欲望があるし、食べている時においしければ食後の冷えのことを忘れてパクパクと食べてしまう。
自分の身体の状態と食事のマナーに関する自分のありたい姿の折り合いを自分の中でどうつけてどのように調整するかが課題なのかもしれない。
という話を夫にしたら「課題、多いね。でも課題に気づいてよかったね」と言う。
とりあえず魚介類を多めに食べる前と食べたあとには、胃腸を温めるような工夫を普段以上に意識して行うようにしよう。