ボルベール帰郷Volver

ケーブルテレビで見た映画。最初から最後まで見た。
たまたま見始めて、これは何語だろう、スペイン語っぽいなあ、と思う。
そう思っているうちにLAW&ORDER(アメリカの犯罪捜査ドラマのひとつ。日本語訳タイトルは「性犯罪特捜班」)っぽい展開になり、そういう心づもりで見るのね、といったん心づもりをする。
ところが何やらワクワクとした展開になる。ワクワクしながらときどきクスクスと笑う。
帰宅した夫に「見始めたら面白くて」とテレビを指し示すと「フランス語かイタリア語?」と言う。
「うーん。お金の単位はユーロだったから、ユーロ圏のどこかだとは思う」
「街や人のかんじだとラテンっぽい気がするけど」
「言葉の音はフランス語ではないと思わん?」
「んー、じゃあ、イタリア?」
「でもね、オラ、って挨拶してたよ」
「じゃあスペインじゃん」
「イタリアだったら、そうか、チャオ、じゃね」
食事中も引き続き映画を見る私が時々クスクスと笑うと、夫は「今のところ笑うところなの?」と訊く。「うん、たぶん笑っていいと思うの」とそこまでの背景を簡単に話す。「ああ、なるほどね」となんとなく夫は納得。
威勢のよいスペイン語で話はどんどん進んでいき、事情が明らかになればなるほどLAW&ORDERな展開となるが、誰も何も捜査しなければ起訴も弁護も行われない。けれど最初にしておいた心づもりは有効活用されることとなる。
そうして、ふんふん、それでどうなるのかしら、なところで画面がだんだんと暗くなり真っ暗に、そして花模様のエンディング。
え、え、えー。ここで置いてけぼりなのですかー。とおののく私に夫が「みそきちの見るものって置いてけぼり技多いよなあ」と言う。
でも大丈夫、しばらくして気持ちが落ち着いたら「余韻」に思えてきたから。