エスター

ケーブルテレビで見た映画。途中から見た。
この映画は以前途中まで見たことがあるのだが、そのときはあまりの怖さに最後まで見ることができず、入院中の義理の弟にエスターが枕を押し当てて窒息死させようとするところで撤退した。
昨夜たまたま「今夜のムービープラスチャンネルは何をしているのかしらねー」と思って見たら、ちょうどかつての私が撤退したまさにその場面が流れており、ひょ、ひょえー、こえー、また見てしもうたー、とは思ったものの放映残り時間はあともう三十分程度、それなら最後まで視聴できるかもしれない、ここでこの場面と再会したということはこれは最後まで見なさいよというお告げかもしれない、と思い、そこから腰を入れて見た。
エスターを養子として引き取った家庭をエスターが崩壊させ家族全員を殺戮しようとする様子が続く。
最後はこの家庭の母親が氷の張った池の氷の上と氷の割れ目から落ちた水の中でエスターと対決する。
対決を終えた母親が生き残った娘とともに警察に保護される。雪深くなおかつ雪が舞う中、娘を抱いて歩く。
夫が「あんなにずぶ濡れで雪の中にいたらむっちゃ寒くて死にそうなはずなのに、あんなに普通に動いているのはおかしい」と言う。
「そういうお話じゃけん、極限状態での人のことじゃけん」
「で、エスターはどうなったん?」
「死んだと思うよ」
「えー、それじゃあ、続編ができんじゃん」
「いや、これは単発映画で続きものじゃないから」
「でも、ホラーといえば続きものじゃろう」
「そういうわけでもないと思うけど。あのね、私この映画以前どこかで途中まで見たことがあるの。でもあまりに怖くて途中で見るのをやめて、その途中でやめたところに今日たまたま出会ったから最後まで見た」
「ケツを割ったんやな」
私は使うことがない言葉だが夫が用いる「ケツを割る」という日本語は、いったん何かをし始めたにもかかわらず志半ばで中断することを意味するようであるなと思いながら彼とは会話をしている。
エスター、こわかった。