十三人の刺客

年始年末の広島帰省の長距離移動を終えて帰宅した夜、自宅のケーブルテレビで見た映画。2010年版のほう。
番組表を見てチャンネルを合わせると夫が「これ、なんの映画?」と言うから「十二人の刺客」と説明する。夫は「それは十三人の刺客なんじゃないか」と言う。番組表を今一度表示してよく見るとたしかに「十三人の刺客」となっている。
「ほんとだ、十三人だね」
「あああ、この人、とうとう数字もまともに数えられんようになったんじゃろうか」
「わたしね、この映画の古いバージョンはまえに見たことあるんよ。そういえばそれも十二人じゃなくて十三人の刺客だったなあ」
「よし、十三人の刺客、ちょっとまじめに見ようかな」
新しい「十三人の刺客」では、伊勢谷友介さんの怪演が見応えがあると聞いていたのだが、なるほど丈夫であっぱれだ。
最後まで生き残った(伊勢谷友介さんはいったん殺されたかに見えたものの脅威の復活力で生き返るがそれとは別に通常の身体能力の人たちの中で最後まで生き残った)人を演じた俳優さんが山田孝之さんとなっている。
山田孝之さんといえば、私の中ではドラマ『陽当り良好』なんだけど」
「ああ、はいはい『陽当り良好』そのドラマならおれも知ってるけど、だとしたらなんかえっらい年取ってないなあ、ずいぶん若い俳優さんに見えるんだけど」
「だよねえ、当時あの年齢の俳優さんだったんだから、今はもっとおっさんになってるはずだよねえ」
こんなもやもやとしたあやふやな記憶に翻弄されるときに、インターネットという道具は大いなる手助けをしてくれる。
「どうやらくん、わかったよ。陽当り良好の人はね、竹本孝之さんだった」
「おお、そうだそうだ、山田さんじゃなくて竹本さんだ」
「でね、竹本さんは47歳だって」
「おれらと同い年かー」
「んー、ちがうと思う、1965年生まれって書いてあるよ」
「そーかー、いっこ上かー」
「あー、なんかすっきりしたねー」
「うん、すっきりすっきり」
「そうじゃんねえ、山田孝之さんといえば、ちゅらさんの弟で、世界の中心で愛を叫んだりウォータボーイズで泳いだりしていた人じゃんねえ」
「ええっ、そうなん?」
「そうなん?ってそうじゃん。どうやらくんも一緒に見てたじゃん。でね年齢は1983年生まれの29歳だって。それならさっきの容貌でちょうどそれくらいかもしれんね」
「はー、すっきりすっきり」
「うん、すっきりすっきり」
その他にも「あ、この俳優さん、重盛さんの俳優さんだね」「ほんとだー」などの会話をたまにはさみつつ、ふたりとも途中で寝ることなく、最後まで視聴した。