蔓巻紙紐

フウセンカズラの植木鉢に木の枝の支柱を立ててしばらく様子を見ていたが、一番大きな茎の先の柔らかい触手のような部分がひとつだけ枝に、くるりぴとっ、と、くっついた以外は誰も枝につかまらず、風が吹けば風にゆらゆらとゆらぎ、ときにはびゅうびゅうとゆられるがままにゆれている。
フウセンカズラの触手(正式な名はなんというのだろう、葉ではなく茎というには細すぎる、人体の産毛よりは太いけどおそらく頭髪よりは細い蔓で、先端がくるりんと巻いている)は非常に細く指先の部分がとても小さい。この小さな触手にとっては木の枝は太すぎてつかまりにくいのかもしれない。
それでは、と、古新聞やダンボールを縛って回収に出す時に用いる茶色い紙紐を持ってくる。支柱にした木の枝の下の方で紙紐をいったん結び、隣の支柱まで引っ張ってその支柱にくるりと巻きつけてからまた隣の支柱まで引っ張りくるりと巻きつける作業を繰り返す。そうしてドーム状の支柱に紙紐を螺旋状につなぐ。
フウセンカズラの小さな触手を紙紐に誘導する。小さな指先が紙紐をがしっとつかむ。どの苗も皆それぞれに近場の横紐に触手を伸ばしてつかまる。まだ触手の出ていない人はそのままだがそれまでに比べると風が吹いてもそんなにひどく揺れなくなった。横紐が少しそこにあるだけで防風効果があるのかな。