五葷(ごくん)

一年ほど前だろうか、五葷(ごくん)ということばを初めて知った。陰陽五行説は知っていたけど、五葷(ごくん)は初めて知った。


五行 土 木 火 金 水
五臓 脾 肝 心 肺 腎
五官 玄 耳 眼 鼻 口
五常 信 仁 礼 義 智
五戒 妄 殺 淫 盗 酒
五葷 ラッキョウ ニラ ニンニク アサツキ ネギ
五情 欲 喜 楽 怒 哀


三厭五葷(さんえんごくん)といって、三厭(肉類、鳥類、魚類)と五葷(ごくん)を食べない仏教ベースのオリエンタルベジタリアン(東洋菜食主義?)があるそうだ。


ここ数年、何がどう変わったのか、ある種類の食材を食べると、どうも、なんというか、調子が、よろしくないのである。


食べると頭の両角から、駅の立ち食いうどん(そば)の出汁のニオイがたちこめる。自分の体の穴という穴から、熱気と蒸気が出てくる気がする。胸焼けのような、頭痛のような、吐き気のような、ぐったりとした、うううぅっとした独特の感覚。

もともとは、大好きな食材だったのだ。

スパゲティペペロンチーノ(にんにく)
親子丼(たまねぎ)
チキンライス(たまねぎ)
餃子(にんにく)
にらたま(にら)
薬味のネギの小口切り(ねぎ):冷奴にかけても、味噌汁に入れても、うどんや素麺に入れても、美味しいではないですか。
鍋物の白ネギ(ねぎ)
ベーコンとニンニクの芽のごま油炒め(にんにくの芽)
オニオンサラダ(たまねぎ)
肉じゃが(たまねぎ)
他にもいっぱい。


なのに食べるとうぅっとなるから、最近は、自分でそれらの食材を買って料理して食べることがなくなった。
もともと大好きな食べ物だし、今でも食べれば口には美味しい。ただ食べたあとがどうもよろしくないだけだ。

外食でたまに食べればやはり、ぐったりするし、うぅっとなるし、頭の両角から何かが出るけど、食べると決めたら、おいしく、ありがたく、いただく。

分別可能な状態であれば(薬味など)、「入れてもいい?」と聞いてから、夫の器にうつしてゆく。

分別困難な状態であれば、腹を決めて、おいしく、ありがたく、いただく。

よそのお家で御馳走になるときも、おいしく、ありがたく、いただく。

もちろんあとで苦しくなるけど、それなりの対策をして、時間をかけてやり過ごす。

五葷の中で、生姜はかろうじてだいじょうぶか、なあ。でもほんとは、うっすら、うぅってかんじ、してるよなあ。でも好きだから、気付かないフリしてるよねえ。フリができるくらいの「うぅ」だし。これからももうしばらく気付かないフリを続けようかな。

それに生姜は、「お体さま」が「これくらいは食べておこうよ、頼むよ。」と言っているかんじがするのだ。「ニンニクやタマネギやニラは無理でもね、これならね。」ってかんじだ。

動物性蛋白質でも、ときどき「お体さま」が「頼む。食え。」と言うときがあるのと似ているな。

「大丈夫。あとはこっちで対応するから。しんどいことにはしないから。」と条件提示してでも要求してくるときには、前後に何か、それが必要な、あるいは、あったほうがスムーズなことがあるのだろう、と、できるだけ従うことにしているが。


五葷にもレベルが5段階くらいあるみたいで、レベル1(高)が「ニンニク」で、「生姜」はレベル5(低)。

「菜食が進むと五葷を受け付けないない体質になることが多い」とも書いてあったけれど、私は「菜食主義」ではない!全然、主義、ではない!美味しいと感じて、体がラクな食べ物が、たまたま植物性に多い、というだけだ。だから、菜食が進んで、五葷苦手になったわけではないはず。

牛はあんまり得意じゃないけど、でも食べようと思えば食べられる。食べた後、うぅっとなるけど。ときどきは「おいしい!」と感じる。

豚や鶏なら週に1〜2回くらい大丈夫だし、魚介類なら週2〜3回くらい大丈夫だ。たくさんは無理だけど。

卵もOK。乳製品もOK。ときどきうぅっとなるけれど。なったらしばらく食べないけれど。

豆類、豆製品、豆乳ならいつでもOK。


えーと。五葷を知ったことを今後どう生かすかな。

これまでは、旅の体調管理の一貫として、たまーに乗る飛行機の機内食を「乳製品卵OKのベジタリアン食で」とリクエストしていたけれど、今後は「オリエンタルベジタリアン食で」と伝えればよいのだな。そうすれば、五葷を抜いたお野菜料理にしてもらえると。けれど今までの「乳製品卵OKのベジタリアン食」でも、実際には、一度も、乳製品も卵も出てきたことがないし、そういえば五葷も入っていなかった。

今後の健康管理対策は、今までどおりにプラスして、まあ、その程度でいいだろう。五葷に関しては、なるほどそういうのがあるんだな、と自分で憶えているだけでいいことにしよう。

でも、三厭五葷抜きのレストランがあったら、ぜひとも行きたい。近所にあったら、なおうれしい。