夜のつつじ祭り

昨夜、野沢温泉では、道祖神祭りが開催された。道祖神とは、道端に立つ守り神のような存在。と書いたが、夫から、「あれは道祖神祭りではなく、つづじ祭りの夜編だ。」との指摘が入った。道祖神祭りの開催は、冬場なのだそうだ。というわけで、タイトルも「夜のつつじ祭り」に変更。そのお祭りでは、地元の若い人たち(10代半ば以降くらいか)が、太鼓の演奏を披露する。昼間つつじ祭りの会場として、テントのお店を出していたところが、引き続き、夜も営業。昨日書いた「たけのこ汁」も大鍋で用意してある。看板の文字は「竹の子汁」になっている。夫と私は、真湯(外湯のひとつ)前に設けられた足湯コーナーに座って、足をお湯につけた状態で、太鼓の演奏を愉しむ。夫が「アイスが食べたいなあ。」と言うので、「そこでジェラート売ってたよ。地元の果物ジャムで作ったジェラートって書いてあったよ。」と情報提供。夫は「じゃあ、買ってくる。」と、お湯から足を出して拭いて靴下と靴を履きなおす。私はお湯に足をつけたままで待つ。しばらくして戻ってきた夫は、何も持っていなくて、「あれ?アイスは?」と訊くと、「ジュースしか売ってなかった。」と言う。そうなんだ。売り切れたのかな。と思いながら、私もお湯から足を出して拭いて草履を履きなおす。じゃあ、帰ろうか、と、帰り道すがら、テントのお店を見てみたら、私が思っていたところに、ちゃんとジェラートの看板がある。「どうやらくん。ほら、これこれ。ジェラートでしょ。ジュースの看板は上にかけてあって、ジェラートの看板は下に立てかけてあるよ。」「うわ。ほんとだ。気づかんかった。じゃあ、買う。ラフランスにする。」と、ラフランスジェラート購入。テントの隣のテーブルと椅子に腰掛けて、食べてから帰ることにする。
沖縄旅行以来、私が、夫に奨めていることは、「もっときょろきょろすること」だ。テントのお店の看板も、上にかかっているジュースの看板だけ見て、商品はこれだけだと、思い込んでしまうのではなくて、上下左右に視線を動かして、自分に必要な情報が、その近辺にあるかも、と、もう少し気にしてみようよ、というお奨めだ。沖縄旅行のときにも、ほんの少し周辺を見渡せば、まず券売機で食券を買ってから、注文を通すシステムとわかるはずなのに、夫は厨房のおばちゃんのところに直行して、近くにある券売機の存在に気づかない。厨房のおばちゃんが手を休めて説明してくれるまで、じっとそこで待っているのだ。じっと立って待つ彼に、私も席から声をかける。「どうやらくん。券売機があっちにあるよ。」と。でも、彼は、自分が予想しないところでの、私の声を聞き取ることが不得手だ。虫か蛙の鳴き声を聞いてるみたいに、上手に聞き流してくれる。こんなことでは、彼が予想しない事態で、私が危険な状態に陥って助けを求めたときに、果たして無事に救援してもらえるだろうか、と、なんだかとても心細い。だから、沖縄旅行以来、「もっときょろきょろすること」と「私が何か言ってないかなー、と、耳を澄ますこと」を推奨中だ。
ジェラートを買った直後に、「ね。きょろきょろすることは、大切でしょ。」と言うと、夫は「ほんとだ。大切じゃった。」と納得したふうではあったが、今後の夫の周辺観察力が順調に成長するか、緊急時に私は無事に彼に助けてもらえるか。どうせ持つなら不安ではなく、期待にしてみようと思う。