おくりびと

夫が借りてきたDVD。二人で一緒に見た。
お彼岸連休中のテレビ放映を見るつもりだったのだが、帰省中の実家の田舎のあまりの夜の早さに、睡魔に負けて、断念した。夫の実家に泊まりに来ていた、夫の甥っ子(夫の妹の子)(小学5年生)が、何度か「おくりびと、見んのん?もう少しで始まるよ。」と声をかけてくれたのだが、「だめだ。眠くて見れそうにない。君が見たいブザービートを見ていいよ。最終回なんじゃろ?」と断末魔的につぶやくと、「やったー!」と喜んでいた。
今回見てみると、何箇所か「くはは」と笑ってしまうところありつつも、丁寧で手早いことの美しさに心奪われる。丁寧だけどトロトロと遅いのでも、手早いけど雑でガサツでも、美しさは表出しない。私は何かにつけて、「仕事の美しさ」や「生活の美しさ」、「丁寧な美しさ」を見ることが好きだ。潔癖とはまた別の、そこに在る愛をいとおしく思う。
作品中、主人公が、楽器とは別の仕事をしながら、日々の中で突き動かされるように、楽器(作品の中ではチェロ)を弾く。そのことにも、生きるものとしての美しさを感じる。人前で演奏するためにではなく、自分の何かを整えるために奏でることも、音楽というものの、ひとつの本分なのかもしれない。自分の中の何かに突き動かされたときに、弾くことのできる楽器がある、ということは、幸運で、そして、少し切ない。