イキガミ

夫が借りてきたDVD。私が仕事から帰ってきたら、「さっき見終わったところ」だという。夫によると「あんまりぱっとせんかった」とのこと。「それは、まあ、人様に死期をお伝えする内容だったら、ぱっとしたかんじではないのかな」と私が言うと、「そうじゃなくて、作品のできとして、期待したほどじゃなかったなあ、という意味」だと教えてくれた。
食後、夫は、DVDを返却しに行くという。「返しに行くけど、何か借りてきてほしいものある?特別ないね」と、私の返答をまったくひとときも待つことなく、会話になっていない会話を終えて出かけていく夫。それは、たしかに、私は特別、借りてきてほしい作品はないけれど、でも一言、「ううん。今は別にない」くらいの返事はしたかったなあ、会話として、と、ごくごくわずかに不本意を感じる秋の夜。