東西南北

美容院(私は顧客)での各種放置時間を利用して雑誌を眺める。主な目的は、医薬品や健康食品関連の広告を確認することである。ところが、これまで「おかず(食事のおかずのメニューなどがたくさん掲載されている)雑誌」だと私が勝手に分類していた雑誌が、なにやら最近は「健康雑誌」に変身したのか、広告の確認目的以外にも、なかなか私の興味をひく構成になっていた。
その中に、風水ネタがとりあげられていて、寝るときの枕の向きの吉方向や凶方向について指南する頁があった。へえへえほほう、と思いながら一応読む。
しかしだな。実際には、そのときの体の状態(陰陽状態も含めて)や、その部屋の状態(各種背景も含めて)や、その人個人の存在特性によって、体や地場(磁場のようなものも含む)が求める方向は異なってくる。どんなに風水的に「吉」とされている方向でも、体がその向きを拒むときは、夜中や朝になってに気づくと別の向きで寝ているということは、よくある。さかさまが快適ならさかさまに、九十度回転させたところがよければそうする。微妙に斜めにずらしたほうがしっくりくることもあるし。
雑誌に書いてあることは軽く参考にする程度にして、それを鵜呑みにするのではなくて、自分の心身とよく相談して、自分のいる空間といろんな気配を交換し合って、自分の感覚や直感に粛々と従うのがいいはず。
もちろん、雑誌に書いてある通りにしたら、思いのほか快適で快調な場合は、それはそれで熱心に履行するといいだろう。けれど、また何かが変化することはある。季節が変わり、時が変わり、場所が変わり、自分の身体状況が変わり、各種条件が変わって、以前感じていたような快適や快調が得られない気がする時には、そのときどきの状況に応じて工夫と手間暇を重ねる。それは枕の向きに限らない、のは、いわずもがな。