電子レンジで焼きそばをほぐす

今日の夕ご飯は焼きそば。具は豚バラ肉とニンジンとキャベツ。
これまでは、具を炒めたあとで焼きそばを炒めるときに、焼きそばをビニール袋からフライパンに出して、水を少し加えて、その水がすぐにお湯となったもので麺全体をほぐして炒めていた。
しかし、世の中には、この技以外に、麺をフライパンに入れる前に電子レンジで少し温めておくことでフライパン投入後のほぐれをよくする技があるらしい、という情報を得た。たしかにそれはよくほぐれることであろう、と感心すると同時に、これまでの永きに渡る焼きそば人生において、電子レンジとの長き付き合いの中で、なにゆえ、その技を一度たりとも思いつかなかったのかが解せない。不覚である。しかし、不覚を嘆いても仕方がないことでもあるし、嘆くほどの不覚でもないと思うので、ここは、さっさと、その実演実習を体験する方向で動く。
具を先に炒めて味をつけて、別のお皿にとる。その後に、袋に入ったままの状態で麺の袋を少し開けて電子レンジ可のお皿にのせる。そして電子レンジで加熱。時間としては、一玉あたり二十秒でどうだろうか、と思ってやってみたところ、少し足りない様子だったので、一玉あたりもう三十秒追加してみた。しかし、追加の一玉あたり十五秒を過ぎたあたりで、なんとなくもういいです、といったおもむきが電子レンジから漂う。こうして今回は、一玉あたり四十秒でよし、ということに。麺のちょうどよい加熱時間に関しては、今後の焼きそば作成のたびに、試行錯誤を重ねてゆきたい。
電子レンジで一玉あたり四十秒加熱した麺は、たしかにうまくほぐれる。いつも行っている水を加えてほぐす作業は必要ないほどよくほぐれる。そして麺の焼き上がりが、かりっとしていておいしい。そしてわたしと夫は、焼きそばを食べながら話す。
「今回はね、焼きそばの麺を焼く前に、電子レンジであたためてから焼いたんだよ。いつもは、水を少し入れて、それがお湯になったもので麺をほぐして焼きそばを作ってたんだけど、電子レンジで温めたら、麺をほぐすための水が必要なかった」
「ああ、たしかに、電子レンジで加熱で、麺はほぐれるやろうなあ。でも、その技は一度も思いついたことがない」
「そうでしょ。わたしも、これまで、水を加えてほぐす方法しか知らなくて、それ以外思いつかなくて、なんでだろう、焼きそばの袋にその方法(水を加えてほぐす方法)が書いてあったか何かなのかな」
「おれも、大学生になって自炊をするようになってから、焼きそばは何回も作ったけど、レンジで麺を温めるって、思いつかんかったなあ、ああ、でも、大学生のときには、おれの部屋、電子レンジなかったわ」
「電子レンジがないと、この技は使えないよね。でも、結婚してからは、ずっと電子レンジあるじゃん。でも、どうやらくんが焼きそば作ってくれるときにも、そんな方法したことないよね」
「うん。なんで思いつかんかったかが不思議じゃけど、思いついてなかったなあ」
「電子レンジで温めて麺をほぐした焼きそばは、水を加えてお湯にしてほぐした焼きそばよりも、水っぽさが少なくて、かりっとしてて、おいしいね」
「なんか、理屈からしてすごくあたりまえの結果を話してるだけですね、お客さん、なかんじだけど、たしかに、そのとおりやなあ。かりっとしてておいしいなあ」
こうして、我が家の焼きそばレベルは、今宵、一段階かもしくはそれ以上、飛躍的に向上した、と思う。