アンチョビパスタ

昨夜の我が家の会話。
「明日の夕ごはんはアンチョビのパスタだから、会社のお昼ごはんでメニューが重ならないように注意してください」
「それは、ぜーったい、ない。会社のお昼ごはんにアンチョビパスタが出てくるわけがない」
「アンチョビではなくても、鰯の梅煮ならあるかもしれんじゃろ」
「それくらいなら、別にかぶってもいい。で、アンチョビパスタは、アンチョビだけ? ジャガイモは?」
「ジャガイモも入れるよ。オイルサーディンも」
「やったー」


そして今夜。
ジャガイモを先に炒めて、ちょうどよくかりかりほっくりさせておく。
沸騰したお湯でパスタをゆでる。
ここで夫に尋ねる。
「今ならパスタの種類をお選びいただけます。ゆで時間が短いのはショートパスタで、本日はこちらのペンネを予定しております。ロングパスタもあるよ」
「早く食べたいから、ゆで時間の短いペンネで」
「はい。では、ペンネ、投入します」
とお湯の中にペンネを入れて、菜箸でぐるぐるかき混ぜる。
そこで夫がわたしに訊く。
ペンネは何分?」
ペンネは三分」
「長いパスタは?」
「どうかな。今、うちにあるのだと、七分とか十一分とかじゃないかな」
「ああー、それくらいなら待てたのにー。短いパスタより長いほうが好きなのにー。だまされたー」
「なんにもだましてないじゃん。どうやらくん、ときどき、そういう被害妄想に入るの得意だよね」
パスタをゆで始めたら、フライパンのジャガイモの中に、オイルサーディンとアンチョビの缶詰をそれぞれ開けて入れて混ぜる。アンチョビは発酵しているからなのか、加熱すると溶けたようになり、いつの間にか姿が見えなくなる。
アンチョビ単品では、海鮮珍味度合いが高くて、わたしは食べられないのだけど、オイルサーディンと混ぜて加熱すると、その旨味をおいしいと感じる。
三分でゆであがったペンネをザルでお湯を切り、フライパンに入れて混ぜる。
各自のお皿に入れて、わたしはパセリと黒胡椒をかける。夫はパセリと黒胡椒だけでなくスライスチーズも入れる。夫が「ジャガイモとイワシの組み合わせっておいしいよなあ」としみじみ言いながら食べるから、「うん、おいしいね」と応える。
ごちそうさまでした。