柳津温泉のあわまんじゅう

もはや、旅記録が前後するのは、恒例、ということで、五月二日の午前中の記録。
新潟県の咲花温泉から大塩温泉に向かうまでの間に、福島県の「柳津温泉(やないづおんせん)」という温泉町に立ち寄る。
ここの名物は「あわまんじゅう」。穀物のアワともち米を使った黄色いおはぎ(ぼたもち)状のものの中にあんこが包まれている。火災に遭わない(粟ない)ように、という願いが込められているらしい。
観光駐車場に車を停めて駐車料金を払う。夫は、駐車場の向かいにある圓蔵寺(えんぞうじ)に参拝する。わたしはその坂道と階段の多さを見て、最初の山門のところで手を合わせただけで満足して、夫を見送る。
階段をおりたところにあるあわまんじゅうのお店に入る。「バラで二個だけ買いたいんですけど」と相談すると、「六個で五百円なんですが、六個は多いですか」と訊かれる。「はい。多いです。二個だけでいいんです」と言うと、しかたがないな、といったかんじで、蒸したてホカホカのあわまんじゅうを二個出してくださる。「すぐいただくので、そのままでいいです」と、袋には入れてもらわずにそのまま受け取る。六個で五百円のあわまんじゅうは、二個だと百六十円で、六個買うより割安なのは、箱代がかからないからだろうか。
車の中でお茶を飲みながら、あわまんじゅうをいただく。穀物、特に雑穀が好きなわたしには、たいへん好ましい食感と味であるが、やはり天下をとる(大衆受けする)のは、もち米のおはぎのほうなんだろうな。
圓蔵寺からおりてきた夫に、「あわまんじゅう、蒸したてであったかくておいしいんだよ」と勧める。夫は「うん、うまいじゃん」と食べてから、「でも、やっぱり、おはぎは天下をとるだけのことはあるな」と言う。
柳津温泉の町内温泉施設では「粟御膳(あわごぜん)」という粟(あわ)を使ったメニューの定食が食べられるらしく、お昼ごはんそれでもいいかな、朝ごはんがしっかりしてたから、もっと軽くてもいいね、と話しながら近隣を少し歩く。これといって食べ物屋さんと出逢えないみたいだから、炭酸水を目指しましょう、と出発する。
柳津温泉では入浴せず、あわまんじゅう(と夫は圓蔵寺の階段も)のみで満足。