アスパラアイスと母の日プレゼント

五月七日午前。
宿をチェックアウトして、車に乗って、近くの丘の上に行く。広い駐車場に車を置いて、少し歩いて建物に近づく。
まずはアイスを食べよう、と、ジェラートコーナーへ。私はアスパラガスとイチゴ、夫は何にしてたかな、アスパラガスとラムレーズンだったかな。このお店でもアスパラ祭りのシールをもらう。建物の外に出てベンチに腰掛けて、カップのアイスをスプーンですくう。
アイスを食べて全身がふうううっと寒くなる。ゴミ箱にアイスのカップとスプーンを捨てて、建物の外の日向にいったん身を置く。お日様で身体が少し温まったら、今度はお菓子屋さんばかりある木造の建物に入る。
いろんなお菓子屋さんが軒を連ねる。あれも食べてみたいなあ、これも食べてみたいなあ、と思う。アスパラガスのホイップクリームと小倉餡が入ったシュークリームを「こちらで今すぐいただきます」と伝えて、食べやすい紙の入れ物に入れてもらう。これは私一人だけ。夫は今はもういいと言うから。お店のすぐ前の低い台に座って、アスパラガスはあまりよくわからないけれどおいしいわ、と思いつつほおばる。このお店でもアスパラガスシールを入手して、これでキャンペーン応募に必要なシール三枚は集まった。シュークリームを食べ終えたあと、建物の中の椅子に座ってテーブルの上でシールを貼って、キャンペーン応募用紙部分に住所と名前を書いて、回収コーナーに提出。
建物の入口に入ってすぐのところにある温泉饅頭屋さんを見る。昨日イカスミ温泉饅頭をおまけしてくれたお饅頭屋さんの丘の上の出張所で、かご盛りの温泉饅頭が続々と売れる。そしてまたすぐに「ただいま蒸しあがりましたー」と新しい饅頭が補充される。ここのお饅頭は皮も餡もおいしい。自分用にいくつか買って帰ろうとカゴに饅頭をのせていたら、夫が「ええっ、まだ食べるん?」と訊いてくる。「うん。帰りの車の中か、家に帰ってからね」と応える。
そのお饅頭屋さんの一角に、アスパラガスのバウムクーヘンが置かれている。昨日私が買ったものと同じで、私が買ったのはスティックタイプだったけれど、同じバウムクーヘンの丸いものもある。アスパラガスが入っていないプレーンなタイプもあるし、チョコレートが混ぜ込んであるものもある。スティックタイプを六本くらいセットにして入れるとちょうどよい赤くて可愛らしい兎模様の紙の箱が置いてあるのを見た夫が「これにしよう」と言う。
バウムクーヘンなら、まだ私が食べてないのが、昨日買ったのがあるよ。食べたかったら食べていいよ。私にも少し分けてね」
「そうじゃなくて、母の日のプレゼント。今送ったらちょっと早いけど、まあええじゃろ」
「あ、母の日か。うん、わかった、両方とも同じでいいかな」
「うん。うちのほうはこれでいい」
「まだ食べてないけん、味がどうかわからんけど、温泉饅頭ならおいしいのがわかってるけど、温泉饅頭は日持ちがせんけんねえ」
バウムクーヘンのほうはだいぶん先まで大丈夫じゃろ」
「うん。じゃあ、これで、各種二本ずつ詰め合わせで送ろう」
そう相談して、送り状を書いて、レジで支払いを済ませる。
夫が「レストランで食事をする」と言うから、外に出てレストランの建物の前に行く。メニューはアスパラガスを使ったイタリアン。まだもう少し開店には時間が早い。夫は「うーん、ちょっと求めているものと違うかなあ。もうちょっと考える」と言う。私は「じゃあ、野菜直売所でアスパラガス買ってくるね」と言ってから、先にジェラートを食べた建物に入る。野菜コーナーでいろんな野菜を見てまわる。アスパラガスもあるある。昨夜のアスパラ太巻きも、昨年のアスパラ押しずしもそうだったけど、中に入っているアスパラの量が、料理のバランスとしてはちょうどよいのだろうけれど、使用されているのはせいぜい一本くらいで私には少ない。よーし、今日は、アスパラ三昧だー、と決めて、アスパラガスを四束買う。
私の予定では全部蒸して、まずは殆どそのまま食べる。それとは別に、帰り道にスーパーに寄ってアサリを買って、残りのアスパラはアサリと一緒にパスタにする。
さあさあ、さあさあ、今夜本当のアスパラ祭りが始まるよ。