サービスを案内する電話

おそらくインターネットの通信販売をどちらかというとよく使うせいもあるのだろうとは思うのだが、私宛になんらかの「サービスのご案内」の電話がかかってくることがときどきある。夫宛にはほぼまったくない。夫はインターネット通信販売に対する警戒心が強いところがあり、自分の名義では注文をしない。しかしそれでも夫が注文購入したいものが生じる場合はあり、そういうときには夫は私に「注文してください」と頼んでくる。
どこの店舗からどういう経緯で私の個人情報が流出するのかは謎だが、まあそういうことはそれなりにあるときにはあるだろうと思いつつ通信販売を利用しているのと、ナンバーディスプレイに表示される知らない電話番号からの電話には基本的に出ないことにしているので、それほど困難な思いをすることはまずない。配達業者さんからの在宅確認電話はたいていそれっぽい携帯番号からでこちらもそのつもりで出るので、そうであればもちろん、たとえそうでなくても別段面倒な思いをすることはない。どちらかというと一般の電話番号もしくは0120で始まる番号から何度もかけてきて留守番電話にメッセージを残さず無言で電話を切る番号は以後着信を受け付けない設定にするのでかかってくることはなくなるし、何度かの着信ののちにメッセージは残してくれたけど私が必要としていない(自分が必要を感じた時に自分のほうからアクセスしたい)内容の場合にはやはりその番号からの着信拒否設定をするので私が着信に気づく形でかかってくることはなくなる。
ただたまに電話が自動で留守番電話に切り替わるまでの間の呼出音や対応メッセージの音声がうるさく感じてさっさと静かにしたいときには知らない電話番号からの電話に出ることがある。
そういうたまたま出た電話の中に、ときどきいったいどういう経緯でそういうことになったのかしら、と思う内容のものがある。「独身の方におすすめする結婚サポートサービスのご案内」。丁寧に私の現在の姓と下の名を確認してから繰り出されるその案内に「ええと、独身ではないのですが」と言うと「失礼いたしましたー」と言ってそそくさと電話は切られる。その電話案内の情報上私はいったい何歳の独身ということになっているのだろうか、独身といっても未亡人として登録されているのだろうか。これまではたまたまそういう電話に出た時には「独身ではないのです」と事実を伝えるにとどめていたが、今度もしまた同様のサービスの電話案内に遭遇した場合には「そちらのデータでは私は何歳なんでしょうか」「独身と登録されているということですが、未亡人としての登録でしょうか」と問うてみたい気がする。
そういえば通販の個人情報登録画面によっては、必須項目ではない部分に「未婚」「既婚」を選んでチェックするものがあったかもしれない。必須でないから飛ばした結果「未婚の可能性あり」としてそういう業者にデータが流れるのか、必須で「既婚」とチェックしたつもりがまちがって「未婚」とチェックした結果そういう業者にデータが流れるのか。あるいは生年月日の入力のときに生年を間違って入力したため若い設定になっているのか。既婚未婚の申し出はしていなくても購入する商品の傾向に独身と推察される部分が何かあるのか。
今度もし電話してきてたまたま私が在宅のときで知らない電話番号からの電話に出る気になったときの内容が結婚サポートサービスのご案内であったときには、お仕事中の担当者さんには申し訳ない気持ちを少し抱えつつ、自分の個人情報がどういう登録状況なのかそれとなくなおかつ相手がそれなりに答えてくれるような問い方で尋ねてみたい。
もしかすると「いったいどういう経緯でそういうことになっているのかしら」な電話は実はもっと多種多様な業界からかかってきているのかもしれないが、私があまりにも知らない電話番号からの電話を取らないためにその内容を聞き損ねていることはあるのかもしれない。とはいうものの、たとえ聞き損ねているのだとしても私がそれを「損」だとも「過失」だとも感じていないということは「聞き損ねた」わけでも「聞き逃した」わけでもなくただ単に「聞いていない」だけなのかな。