摘芯とチャイグラス

ベランダのフウセンカズラが支柱の先端まで背を伸ばした。蔓ものの園芸技に「摘芯」というものがあると知る。茎の先を切ってやることでそこから横に伸びる茎を生えさせるという技らしい。縦方向だけでなく横方向にも伸びてほしいときにこの「摘芯」を行うという噂。
支柱の先端まで伸びた茎はもしかすると下向きに誘導して這わして垂れるかんじにすることができるかしら、と考えてまだそのまま様子を見ているが、先に先端までたどり着いたものとは別のもう少し背の低いものの先をはさみで切ってみた。ただはさみで切れば摘芯というわけではなさそうではあるのだが、とりあえずお試しに。
そうやってはさみで切った茎と葉をトルコで買ったチャイグラスに入れて卓上に飾る。水を毎日替えてやるだけなのにこれがいつまでも元気で、チャイグラスの上で蔓を伸ばしお互いに巻き付いて成長している。夫は「もしかするとこのまま水栽培で根が出るんじゃないか」と言うが今のところ根の気配はない。
ベランダで摘芯した部分からは横向きの茎が出てきた気配がない。いや実を言うと、日光をまんべんなくあててやろうと植木鉢をぐるぐる回している間に、自分がどこを摘芯したのかがわからなくなった。
その後花は何ヶ所かで咲き、合計で9個くらいは咲いている気がする。花のあとが実になる風情はまだない。
行灯仕立ての行灯と呼ぶにはまだ葉の密集度が少ないが、それでも支柱全体にほぼまんべんなく葉が揺れてベランダを見やると目にその姿が涼しい。
卓上のチャイグラスはチャイグラスもかわいいがフウセンカズラもかわいい。「フウセンカズラは豆みたいなにおいがするんだよ」と夫に言うと夫はくんくんとにおい「あ、ほんとだ、豆というかなんか青っぽい系統のにおいがする」と言う。
職場の先輩からはフウセンカズラの苗をよっつもらった。よっつのうちふたつは大きな植木鉢にわりと近い距離で並べて植えた。残りのふたつは小さい植木鉢の端と端に離すようにして植えた。いまのところ、離して植えてやったほうが葉が大きく育っているように見える。
朝と夕か夜の二回水をやる。植木鉢の下から少し水が出てくるくらいに。