フウセンのはじまり

日曜日、夫は山に出かけた。少し前の雨山登山のときに痛めた膝の養生を続けていたが今日はそのリハビリを兼ねて近場の低めの山に日帰りで行ってくるのだとか。遠くの景色を見渡すには少し雲が多い日ではあるが、これくらい晴れていれば十分にお山日和。そして下界は洗濯日和。
洗濯物をベランダに干したあと、予定していたフウセンカズラの散髪にとりかかる。ベランダの地面には落ちた花が散らばっている。うーん、これだけ花が落ちて、いったいどこが実になるのだろう。しかし花が全部実になったのでは鈴なりすぎる気がする。花のあと実になるものとそうでないものはどうやって決まるのかなあ。
ちょっきんちょっきんと背が伸びすぎた茎を切る。横方向にびろーんと伸びた蔓を誘導して支柱に添わせて二股の触手を紐か他の茎につかませる。何度か繰り返してきたこの作業で緑の行灯がだいぶん豊かになった。と作業をしていてふと緑色の小さな風船状のものを見つける。
あれれ、あれ、もしやこれは、これが、フウセン!!
わーい、わーい、念願のフウセンカズラの風船が本日ついに一個実ったぞー、とベランダでひとり小躍りする。小躍りしている最中に、あれ、あれれれ、ともうひとつの植木鉢の中にもフウセンを見つける。わあ、ここにもあった、わーい、わーい。と思ったら、あ、ここにもある、あ、ここにもある、と、小さい方の鉢にみっつ、大きい方の鉢にふたつ、合計五つのフウセンを見つける。フウセンの大きさは赤ちゃんサイズではなくて、私の手の親指の爪くらいの大きさはある。いつのまになっていたんだろう。実になった花と実にならない花は何がどうちがうんだろう。
早く実を見たいあまり職場で「受粉を手伝ってやるといんでしょうか。古い歯ブラシでは刺激が強すぎるかなあ、もっと小さな筆みたいなもののほうがいいかなあ」と言う私に、先輩は「あんなちっちゃな花の中で花粉同士が触れ合わないわけがないって。でもやってみたらもしかしたら放って育てるよりもいっぱい実がなったりするんかなあ」と話していた。しかしこれだけフウセンがなったなら、もう受粉に手を出さなくても順次フウセンは増えていきそう。その話を夫にしたら「このひと(フウセンカズラ)は自花受粉なのか、他花受粉なのか、他花受粉なら虫かなにかの介在が必要なんじゃないかな」と言う。しかしフウセンカズラは虫がよりにくく育てやすいのが特徴と聞く。私が観察している間は虫が受粉のお手伝いに来た様子は見られなかったが、このひとはどうやって受粉したんだろう。自家受粉で自分で自分の花の中で問題解決する人たちなのかな。
いまあるフウセンの大きさでは、まだ種が三個も入っているようには感じられない。中の種はまだ小さくて、これから中の種も外のフウセンも大きくなっていくのだろうか。
今回は気づいたときにはもう親指の爪大サイズになっていたが、今度は花からフウセンになりたてのものも目撃してみたい。