幸せのレシピ

昨夜BS放送で見た映画。ひとりで見た。夫は会社の飲み会で外食のため帰宅が遅く見ていない。が、この映画は以前にも見たことがある記憶がある。その時には夫と一緒に見たかもしれない。はっきりとは思い出せないけれど、映画の最後に三人の名前を書いた三角形のお店のマークが出てきたはず、と、そのことを再確認したいその一心で、そういえばそうだった、こんな展開だった、うーんこんなシーンもあったのかあ、と記憶をなぞるように試聴する。
主人公の女性(おとなのほう)を見た時に、以前にも「ああ、アビー・ロックハート先生(ドラマ『ER救急救命室』の登場人物)、こんなところでもお仕事なさっているのですか」と思い、今回もまたそう思ったのだが、アビー・ロックハートを演じたのはモーラ・ティアニーさんという女優さんで、『幸せのレシピ』の主人公を演じたキャサリン・ゼタ・ジョーンズさんとは別人。ああ、そういえば、まえに見た時にもそう思って確認したのに、今回もまた同じことを思い、んー、でもなんか訂正の記憶が漂うのはなぜかしら、と検索をして、そうかそうだった別の女優さんだったのだ、と思い出す。
主人公の女性(こどものほう、主演ではなく助演にあたるのかも)はアビゲイル・ブレスリンさんという子役女優さんが演じる。この女優さんはドラマ『NCIS』で人並み外れた聴覚を持つ(視覚を持たない)少女を演じた子だよね、あのエピソードは何度見てもお気に入りの回だよなあ、と思いつつ彼女についても検索。すると、なんだかもう既にちっとも小さな女の子でも少女でもなくほとんどおとなに近い女性になっていて、うわっ、こんな大きくなって、まあまあ、すっかりムスメさんらしくなって、と目を細めて感嘆する。大きくなったダコタ・ファニングさんを見た時にも、うわっ、と思ったが、あの年頃の小さな子はあっという間に大きくなるねえ、と最近夫とよく話す。子役女優さんといえば一昔前ならば、いやふた昔前かもっと前か、ジョディ・フォスターさんもそうだったのかもしれないが、私がジョディ・フォスターさんの女優としての仕事を知った時には彼女は既に大きなおねえさんだったからアビゲイル・ブレスリンさんやダコタ・ファニングさんたちに対して抱いたような、うわっ、という感覚はなかった。しかし彼女が小さな女の子であったときの仕事を知っている人で、その成長をある程度連続性をもって見ているわけでない人にとってはやはり「うわっ」と感嘆を抱いたのだろうか。
今日あらためてモーラ・ティアニーさんとキャサリン・ゼタ・ジョーンズさんを見比べてみると、なんとなく私が見間違い思い違いをする気持ちもわからなくはない。
思い違いといえば、私はNHKの朝の連続ドラマを見る習慣がないのだが、ネタばれは大好きで、そのうちまとめて見ることがあるだろう時(総集編ではなく全回何夜連続放送的な機会)に備えて現在視聴中の方々の感想などは好んで見聞きする。そして現在放映中の「あまちゃん」というドラマにおいてミズタクなる登場人物について人々が言及するのを見聞きしては「ふむふむ、なるほど、松田龍平さんが演じておられるのね」と脳内イメージを展開していた。それが先週土曜の夜にたまたまチャンネルをかえたNHK系列のどこかで「あまちゃん」を放映していてそれを見た時に、うわっ、私また松田龍平さんと思いながら脳内で松田翔太さんを動かしていた、と気づく。これに関しては以前みそ記で『探偵はBARにいる』について書いたときにも言及しているのだが、私の脳にとって見間違う以前に何か思い違うツボがあるとしか思えない。
思い違いといえば、まだ誰にも話していないのだが、その「あまちゃん」なるドラマを視聴していないがために、自分でややぎょっとするような思い違いをしていたことがある。4月末頃に私の勤務先の仕事に関してかなり「うわーん」と思うことがあり、その日その職場にいたメンバー同士では「うわーん、うわーん」と涙を各自拭い合いながら帰ったのだが、しかしこの情報は別の先輩にもお伝えしておいたほうが次にその職場に入るシフト予定の先輩も心づもりがしやすいよね、と思いその先輩にその件をメールで報告した。するとその先輩から「ジェジェジェ、そうなの?!」という返信があった。ジェジェジェ、は半角で書いてあった。そのとき私はこの先輩は「gegege」と私ならば入力して「ゲゲゲ」と変換するであろうところを「jejeje」と入力する人なんだな、と、たしかにGとJの発音は似ているところがあるものね、私がむかし中学生の頃から文通していたアメリカ合衆国在住の女の子(当時)はGINAと書いてジーナと読む名前だったけど、私がジーナ宛の手紙を書いているのを見た同級生が教室で「ギーナ?」と聞いてきたことがあったなあ、と、ただそう思った。それからしばらくするとなんとなくあちこちで「じぇじぇじぇ」という言い回しを見聞きする機会が増えた気がしたが、へえ、みなさん、私の職場の先輩の言い回しを真似するようになったのねえ、先輩ってば流行のさきがけー、くらいに思っていた。それが数週間前だろうか、とあるテレビ番組にて脚本家の宮藤官九郎さんが彼の作品である「あまちゃん」について別の誰かとお話されるのを見た時に宮藤官九郎さんがしきりに「じぇじぇじぇ」と言われるのを聞いて、ちょっと待て私、もしかして、「じぇじぇじぇ」は私の職場の先輩が編み出した言い回しなのではなく、宮藤官九郎さんが作品中で編み出した言い回しであり、職場の先輩はドラマ「あまちゃん」を視聴している一視聴者なのではないか、と思い至った。そしてその後こっそり観察しているかんじではやはり先輩はご夫婦で毎朝『あまちゃん』を視聴しているようである。
私の勘違いや思い違いにはちょびっとぎょっとするようなことがときどきたまにあるけれど、私の人生は概ねしあわせのレシピで満ちている。