のぼうの城

夫が借りてきたDVDを一緒に見た。この作品でも野村萬斎さんの歌声と舞姿は見応えがある。その昔「花の乱」という大河ドラマ野村萬斎さんが「管領(かんれい)どの」という役を演じたときにも彼の居住まい佇まいのしゅっとした美しさとその凛とした声を視聴できるのはたのしいなあと思った記憶があるが、あれはいつの作品なのかしら、と思い調べてみたら1994年とある。野村萬斎さんはたしかその後ロンドンにお芝居の勉強に行かれたのだったような。
久しぶりにレンタルDVD屋さんに行った夫は「久しぶりに行くとどこに何が配置してあるかの勘が衰えてるのがわかるなあ。うちでDVD見るのも久しぶりだなあ」と言う。
「借りてきたDVDを見るのが久しぶりなだけで、うちでは清盛くんのDVDは私ちょくちょく見てるよ。どうやらくんもいるときには見てるじゃん」
「ああ、そうか、借りてきたDVDを見るのが久しぶりなのか。そういえば、レンタルのお店にも清盛がたくさん置いてあった」
「そりゃ、置いてあるでしょ」
「しかもけっこう貸出中だった。わざわざ借りて見る人がいるんやなあ、と思った」
「そりゃ、見たい人は借りて見るでしょ」
「うちには買って見てる人がいるもんなあ」
「あの作品は音楽がいいもの。あの音楽聞きたさに作品が見たくなるんだって」
「ほほう。皆さん音楽を求めて見てらっしゃるわけじゃないと思うけど」
「いいや。あの作品を気に入って見ている人の何割かは自覚してるかしてないかはともかく音楽メインで視聴してるんだって。まあ清盛くんに限らずなんだろうけど、特に清盛くんに関しては音楽と音響なしでは作品として成立してないもん。音楽音響なしだと、のぺーっ、としててあのめくるめく躍動感がないんだなあ。でも俳優さんたちは音楽も音響もない状態で演技しているわけだからえらいよねえ。いや、下手に音楽や音響がないほうがむやみに煽られたりしなくて演じやすいのかな。清盛くんの音楽は音楽を音楽だけで単品で聞くのもいいんだけど、お話の映像や俳優さんの演技や台詞とセットで聞くのがいいんだわあ」
「よかったね」
暴風雨の日曜日、家で過ごす休日は、のぼう様と一緒に、レロレロレロレロひょろろんひょろろん、と体を揺すってうたおう。