ごま油とオリーブオイル

我が家では現在味の素のごま油とオリーブオイルを常備している。100ml程度(確認したら70g入りだった)の小さな瓶に入ったもので瓶の素材はガラス、キャップはプラスチック、ラベルははがせるプラスチックフィルム。瓶そのものはごま油オリーブオイルともに丸みを帯びた12角形であることも大きさもまったくおなじ。
以前は私がオリーブオイルにはまっていた時期があり、その頃には大きなボトルのオリーブオイルを「食べる、というより、飲んでるよね」くらいの勢いで使っていたのだが、そのブームが去り現在はごま油やオリーブオイルはほんの少しあればいいなあ、な状態になっているので小瓶購入することにした。
今日の夕食に鍋ラーメンを食べていたとき夫が「おいしいけど、もうちょっとパンチがほしいなあ」と言うので、「味は各自で調整できるように塩と胡椒は卓上に置いてるよ」と伝える。
「うーん、塩は十分だと思う。胡椒をかけたらちょっとラーメンっぽいパンチが効いたけど、もう一声、ってかんじかなあ」
「んー、じゃー、私は使わないし使えないけどどうやらくんは七味使えるから七味は?」
「でもこれ味噌ラーメンじゃないからなあ」
「だったらごま油はどうだろう。出前一丁風に」
「おお、そうか、ごま油か、そうかも」
夫はそう言ってガスレンジの下の棚から油の瓶を取り出す。ごま油だけでいいのになぜかオリーブオイルの瓶も一緒に。
鍋ラーメンを食べている木の器にごま油を少し垂らした夫は首をかしげる
「なになに、ごま油はちがってたの?」
「うーん、おいしいけど、出前一丁みたい」
「私もちょっとやってみる。ほんとだ出前一丁みたい」
「おいしいけどパンチとは違うなあ」
「それはやっぱり五葷のパンチが必要なのではないかしら」
「ああ、ネギとかかなあ」
夫はこういうときに備えて乾燥の小口ネギかなにかを常備しておくといいのかもしれない。夫が「この蓋に書いてある点字、なんて書いてあるん?」と聞いてくる。
「んー、なんだろ」
「両方とも同じに見えるんだけど。オリーブ、と、ゴマ、の違いがあるようには見えん」
「んーとね、これは、アブラ、って書いてある、両方とも」
「両方とも油としか書いてなかったらごま油とオリーブオイルの見分けはどこでするんかなあ」
「どこじゃろうねえ。瓶の形も大きさもおんなじだし、プラスチックの蓋も同じだよねえ。あれかな、瓶の底の刻印が違うとか?」
「あー、瓶の底の数字は違うのは違うけど」
「日頃点字を指先で読んでる人ならその違いも指先でわかるんかもよ」
夫は食後に油を片付けたのだが、その後私がもう一度2本の油を取り出して瓶の底をよく見比べてみたら、底の中央を囲むように短い線がそれぞれ5本ずつガラスの突起があり、その線の配置がごま油とオリーブオイルとでは異なることがわかった。ごま油は2-1-1-1の配置、オリーブオイルは3-1-1の配置。しかしこの線の突起がごま油はごま油で全品共通なのか、オリーブオイルはすべてこの出っ張りの配置なのか今度売り場で観察してみようと思う。もしもそれで識別が可能なら、よく考えられているかも。
5本の短い線の突起以外には、へこんだ文字が刻印されているのだが、アルファベットはごま油もオリーブオイルもともにYT。数字はごま油が3と16、オリーブオイルは3と3。あと今気づいたのだが「YT」の文字の対面側にある小さな3本の線が、オリーブオイルは3本同じ長さの線が並んでいるが、ごま油は左から3本目(「YT」の文字が正面に見える向きで)つまり右端の線が真ん中で千切れている。
ああ、これだけ底面のガラス突起情報(何を意味する情報なのか、誰がなんのためにつけて用いる情報なのかはわからないが)が異なっていれば、そしてそれが製品ごとに共通の決まりごとなのであれば、日頃点字を指先で感知する人等であれば、こんなにラベル以外の見た目がそっくりの瓶であっても、これはなんの問題もなく弁別できるなあ、きっと。