母への手紙 編入生

縁なし葉書


前畧。おかあ、ここのところ色々あって、お便りできなくてすみません。私は八つ年上の編入生とひょんなことから言葉を交はすやうになりました。伯爵のご令嬢ですが、どこか寂しさうな人です。勉強の方も、今年は本科最後の年なので、こぴつと頑張ってゐます。英語に關してはカナダ人の先生とだいぶうまく話せるやうになりました。互ひの趣味や出身地などについて語り合ふと、とても愉快です。おかあ、お身體にはくれぐれもお氣をつけて下さい。Thank you 花子


今回は「お身體」だけでなく「英語に関しては」の「關」も旧字体のように見えた。前略の「畧」も旧字体と思われるが画面に映っておらずここは確認できていない。
「交わすやうに」「話せるやうに」の「やうに」は「ように」の旧つづり。「寂しそうな」が「寂しさうな」となっているのも、「頑張ってゐます」「語り合ふ」「互ひ」と書いてあるのも同様。