ソーダバーの飾り

先日到来の「のじるし石けん」は、おまけ付き企画であったらしく、私の親指の腹よりも少し大きいくらいの、小さなソーダバーの飾りが同封されていた。肌色のバーに空色のソーダアイスがたっぷり。ほう、これが最近巷で噂の「フェイクスイーツ」の一種であるか、と、感心しながら眺めた。

私の携帯電話には、義弟手作りの皮細工ストラップ(★MISO★の焼印入り)と、マレーシアからやってきた丸石の飾りが付けてある。これにソーダバーを仲間入りさせて、自宅の充電器に載せていた。

夜になってから、夫に「見て。これ、今日、いただいたの。」と報告する。彼も「フェイクスイーツ」には疎く、初めて聞くその名前と実物を間近にする。ひとしきり眺めた後、なぜか鼻の下に近づけて、くんくん、と、においを嗅ぐ。
「うわ。フェイクスイーツって、ほのかににおいもするんやな。」
「え?におい?しないよ。」
「いや、するって。ほら。ソーダのにおいが、ほのかーに。くんくん。」
「えー?どれどれ。くんくん。」
「な。ソーダのにおい、するやろ?」
くんくん。くんくん。くんくん。
「においはしないと思っていたけど、そう言われたら、するような気がしてきた。」
「な。そうやろ。」
「でも、やっぱり気のせいのような気がする。だって、これはたまたまソーダバーだけど、フェイクスイーツにはいろんな種類があって、バナナ味のアイスのものも、ソフトクリームのものも、ビスケットみたいなものも、他にもいろいろあるんだよ。それら全部に、それぞれのにおいを付けて作るなんて、たいへんじゃん。」
「でも、ソーダのにおいがするじゃん。」

夫があまりに自信満々に言い張るので、私もそんな気がしてきた。でも、どうしても、無臭のような、においがするのは気のせいのような気がして、しばらくの間、ソーダバーと自分のシャツの下の胸元の体臭を嗅ぎ比べる。くんくん、と、すればするほど、わからなくなる。

ここは思い切って、製作者ご本人におたずねしてみることにしよう!と決意して、メールで質問することにした。

「のじるし様。夫がソーダバーフェイクスイーツソーダのにおいがすると言い張ります。なんとなく私もそんな気がしてきてしまいましたが、やはり気のせいのような気もします。本当はどうなのでしょうか。」

親切なのじるしさんは、すぐに返信をくださった。
「どうやらみそさま。気のせいです。においはつけていません。」

すぐに夫に報告する。「においは、付けてないんだって。」
夫は「あ。やっぱり?そうやろ?そうだと思った。」と言う。私は少し驚き、「そうやろ、って、どうやらくん(夫)が、においがするって言うたんじゃん。」と言い返す。夫は私をなだめるように「まあ、わかってよかったじゃん。これですっきり安心して眠れるね。よかったね。」と言いながら私の頭をなでる。なでなで。

夫は最近、こういうかんじのごまかし方が、本当にうまくなってきた。