挽肉のパイ

ミートパイ第二弾、今回は挽肉。


冷凍パイシート二枚を室温で約十五分解凍。
豚肉と牛肉の合い挽き肉120gをボウルに入れて、塩と胡椒をかけて混ぜる。うちにはオールスパイスローズマリーの粉があるので、それも追加で入れてさらに混ぜる。
ニンジン一本とジャガイモ一個をスティック状に切り、シメジ半株とともに、ざっくりと混ぜあわせておく。
パイシートに挽肉をのせてパイを折りたたんで包む。夫のほうにはスライスチーズを入れて一緒に包んだ。
耐熱皿にニンジンジャガイモシメジ混合をのせて塩胡椒オリーブオイルをかける。そのそばに包んだパイを二個置く。
予熱あり、百九十度、三十分でオーブン加熱。焼いている間、シメジのきのこの香りをはじめとしたいろんな香ばしい匂いが漂う。三十分経過したところで、パイの焼き色をもう少し濃くつけたいと思い、五分追加で加熱。
いただきます。


夫は、セージやタイムのパウダーを追加でかけて「パイで包み込むと、獣のにおいがそのまま包み込まれるなあ。もっと、がんがんにスパイス入れてから包んだほうがいいかもだけど、ミートパイ、いけるなあ」と言いながら食べていた。私はだばだばとオリーブオイルをかけて「おいしー」と満足。野菜の焼け具合も、パイの中の肉の焼け具合も良好。他の加熱調理器具を使わずに、肉を生からオーブン調理だけで完成、というのは、たいへんによろしい。しかし、たしかに、チキンホットパイのときにはない獣臭がそこにはあり、それはそれで旨味でもあるのだが、さすが牛と豚だと感心する。そして夫は「これだけ香りが封じ込められる、ということは、香りを楽しみたい食材をパイで包むとかなりおいしいんじゃないかな。たとえば、トリュフとか、松茸とか」と、私の興味の薄い食材を提示する。それから「肉でこれだけいけるということは、案外、魚もいけるのではないか」と言うから、「そうでしょ、私もね、鯖のパイ包み、どうかな、と思ってるの」とこたえると、「いや、いきなり鯖じゃなくて、鮭くらいからにして。鮭はぜったいおいしいと思う」と軌道修正が入る。

「鯖のパイは、昔、遠藤淑子さんの漫画、たしかエッシェンシュタイン公国のエヴァンジェリン姫の話に出てきて、気になってた料理だから、おいしいんじゃないかなあ、と思うんだけど」
「遠藤さんじゃろー。どうかなー。鮭の次は、すぐに鯖じゃなくて、白身の魚がいいと思う」
「青い魚はだめかなあ」
「どうかなあ。とりあえず、鮭で試してから考えれば」

なんだか、牽制されているような、制止されているような。