オリーブとパスタとパン

「オリーブを迎える」で我が家に迎えたオリーブを使って夕ごはん。


用意したもの。ツナ缶ひとつ。生パセリ二本(でいいのかな、数え方。二束、とはちがうしなあ)。空芯菜の新芽一袋。パセリと空芯菜新芽は小さめに切っておく。ショートパスタ百五十グラム。オリーブの実。オリーブのパン。ベーコンのパン。
ショートパスタを熱湯で九十秒ゆでる。
フライパンにツナ缶を開けて缶の中の油ごとシーチキンを炒める。パセリと空芯菜新芽を小さめに切ったものを加えて軽く加熱。かるーく、で、いい。茹で上がったショートパスタをフライパンに入れて混ぜて、塩と胡椒で味を整える。
各自のお皿に入れて、夫はチーズとからめ、私はオリーブオイルをからめる。
そこにオリーブの実を数個散らす。
オリーブの実とパスタ、オリーブの実とパン、を交互に、「おいしいね」「いけるなあ」と、うっとりしながら食べる。


夫も見たいかな、と思い、オリーブの実の空き缶を食卓に飾って食事をした。夫が「これ一缶でいくらなん?」と訊くから、「七百四十円」と答える。
「原産地のモロッコでは、一缶二百円くらいなんやろうなあ」
「七百四十円でも十分満足な値段だよ。ちなみに一斗缶だともっと割安だよ、ってパン屋さんが教えてくれたけど、一斗缶はやめたよ」
「自制心が働いてよかったね。たしかにうまいけど、今日も一人十個くらいずつは食べてるけど、この缶でもたいがい大きいのに、オリーブの実が一斗缶で必要な日本家庭があるとは思えん」
「まあ、業者さん用だろうけど、日本家庭では必要なくても、日本に暮らすギリシャ人家庭とかモロッコ人家庭とかトルコ人家庭とか、パンときたらオリーブは必須やろ、っていう人たちにとっては、一斗缶あっても平気なんかもよ」
「ああ。梅干感覚なら、そうかもなあ。梅干は一度に何個も食べられないけど、オリーブなら何個も食べるもんなあ。梅干、昔は田舎で大きなカメで漬けてたなあ。うちで漬けるときのガラス容器もけっこう大きいもんなあ。そうか、そう思ったら、一斗缶もあるか」
「でも、オリーブ買うときは、うちは、この缶の大きさでいいよね」


最初、一粒だけ、つまみ食いで味見したときに、夫が「このオリーブ、なんか、漬物みたい」と言うから、「漬物みたい、じゃなくて、漬物だと思うよ」と応えた。そのときには「おいしいんかなあ」と言っていた夫であるが、「パンと一緒に噛んだらすごくおいしいんだよ」とすすめたら、最初は「そうかなあ、ほんとうかなあ」と半信半疑そうにしていたものの、実際口にしてみたら「うまいっ!」と納得した様子。我が家のオリーブが夫の歓迎も受けることができてよかった。