黒部五郎岳用ガソリン

黒部五郎岳まで高速道路を走り現地で車中泊するために普段私が使っているETC付き普通車を使いたいと夫が言う。もちろんそのつもりでいたから、どうぞどうぞ、私の通勤にはどうやらくんの軽自動車を貸してね、と交渉成立。
夫がさらに「水曜日か木曜日のうちにガソリンを満タンに入れておいてほしんだけど」と言う。
「思い出せて入れられたらいいけど、忘れるといけんけん、どうやらくんが水曜日か木曜日の通勤に私の車を使って、自分でガソリン入れといたほうが安心なんじゃないかなあ」
「うーん、そのときには木曜日に家に帰ってきてから、みそきちの車のガソリンを入れに行く。ちなみに今ガソリンどれくらい残ってる?」
「どうかなあ、七割か六割かくらいかなあ。黒部五郎岳まで行って帰ってくるぶんは十分あるんかなあ」
「それくらいあればたぶん行って帰ってはこれると思うけど、満タンにしてるほうが安心かなあと思って」
「まあ、どうしてものときには、高速道路のサービスエリアのガソリンスタンドで入れてもいいしね」
「高速道路でできるだけ時間をかけたくないからなあ」
「うん。覚えてたらガソリン満タンにしておけると思うけど、所詮他人事で我が事じゃないけんねえ、忘れる自信はけっこうあるんよ。もしも忘れた時には木曜日の夜にでも入れに行ってね」
「うん、そうする」
そして今日木曜日、夕食のヤリイカのバジルソースパスタのバジルをベランダのプランターで収穫しているときに夫が帰宅して「ガソリンはー?」と訊いてくる。
「入れたよー。仕事に行く前に思い出して満タンにしといたー。思い出してすごいじゃろー」
「おおー、ありがとうー。今からガソリンスタンドに行くつもりだったけど、これで安心じゃー」
「わたし、お手柄じゃろー」
「うん、うん、お手柄、やったね」
とりあえずこれでガソリンは安心。あとは私はこの週末元気に仕事して留守番してぐっすり眠れば完璧。